田原本(町)(読み)たわらもと

日本大百科全書(ニッポニカ) 「田原本(町)」の意味・わかりやすい解説

田原本(町)
たわらもと

奈良県北西部、磯城(しき)郡の町。1889年(明治22)町制施行。1956年(昭和31)平野、多(おお)、川東(かわひがし)、都(みやこ)の4村と合併。近畿日本鉄道橿原(かしはら)線、同田原本線、国道24号、京阪奈自動車道が通じる。奈良盆地の中央に位置し、北流する大和(やまと)川、寺川、飛鳥(あすか)川、曽我(そが)川の流域に開かれた水田農業地帯である。中心の田原本は慶長(けいちょう)年間(1596~1615)に教行寺(きょうぎょう)の寺内町として成立し、寛永(かんえい)年間(1624~1644)以後は平野氏5000石の陣屋町となり、大和川に注ぐ寺川の水運を利用する市場町としても栄えた。北部の唐古・鍵遺跡(からこかぎいせき)(国指定史跡)は弥生(やよい)遺跡で知られ、出土した絵画土器などを展示する唐古・鍵考古学ミュージアムがある。町内には条里制の遺構環濠(かんごう)集落が残る。米作を中心にイチゴや蔬菜(そさい)栽培が盛ん。国道沿いには工場の進出が目だつ。交通の便がよいため、昭和40年代から宅地開発が進んでいる。面積21.09平方キロメートル、人口3万1177(2020)。

[菊地一郎]

『『田原本町史』全3巻(1986~1988・田原本町)』


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