獲得性プリオン病(感染性プリオン病)

内科学 第10版 の解説

獲得性プリオン病(感染性プリオン病)(プリオン病)

(3)獲得性プリオン病(感染性プリオン病)
概念
 わが国では約5%を占め,PrPScの感染源が明瞭なプリオン病である.ニューギニアの先住民族の人食儀式によるクールー,牛海綿状脳症(BSE)の汚染食品による変異型CJD(vCJD),ヒト屍体からの硬膜移植後CJD(dCJD),成長ホルモン関連CJDなどがあり,dCJDなど医療行為で感染したものは医原性CJDとよばれる.
病理
 クールーでは海綿状変性は乏しく,無数のクールー斑の沈着を特徴とする.vCJDではクールー斑を花弁状に空胞が取り囲むflorid斑が特徴的所見である.
臨床症状
 dCJDは古典型sCJDと同様に認知症とミオクローヌスを呈するものと,失調症がやや目立ち経過の緩徐な非典型的病型がある.vCJDは若年者に多く,精神症状や痛みで発症し,その後認知症が加わり経過が長い.クールーは小脳失調で発症し,認知症は顕著ではない.
検査成績
 MRIが有用で,vCJDでは視床枕に特徴的な信号異常を認め,dCJDでは古典型sCJDと同様のことが多い.vCJDでは口蓋扁桃生検でPrPScを認める.
診断
 プリオン病の疑いがあれば脳外科などの手術歴および海外居住歴を詳細に聴取する.[水澤英洋]
■文献
黒岩義之,水澤英洋編集:プリオン病感染予防ガイドライン(2008年版).In: プリオン病及び遅発性ウイルス感染症に関する調査研究班,2009,http://prion.umin.jp/ guideline/index.html
水澤英洋編集:プリオン病および遅発性ウイルス感染症.厚生労働省難治性疾患克服研究事業プリオン病及び遅発性ウイルス感染症に関する調査研究班,金原出版,東京,2010.

出典 内科学 第10版内科学 第10版について 情報

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