爆弾三勇士(読み)ばくだんさんゆうし

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「爆弾三勇士」の意味・わかりやすい解説

爆弾三勇士
ばくだんさんゆうし

肉弾三勇士ともいう。 1932年上海事変の際,点火した爆弾ごと敵陣へ突入し,日本軍の攻撃の突破口を開いた3人の兵士のこと。日本軍は,同年2月 20日上海で総攻撃を開始,中国国民政府軍系の第 19路軍が死守する廟江鎮の陣地に対して,同月 22日の明け方久留米の第 12師団所属の工兵,江下武二,北川承,作江伊之助の各一等兵が志願して,敵陣の縦深 4mの鉄条網に向って全長 3mの破壊筒をかかえて突撃し,壮烈な戦死をとげた。愛国美談として宣伝され,東京,芝の青松寺には「肉弾三勇士の銅像」が建てられた。

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「爆弾三勇士」の解説

爆弾三勇士
ばくだんさんゆうし

肉弾三勇士とも。上海事変で爆死した3人の工兵の軍国美談。久留米工兵第18大隊が上海郊外の廟行鎮(びょうこうちん)を攻撃し,1932年(昭和7)2月22日,1等兵江下(えした)武二・北川丞(すすむ)・作江伊之助は鉄条網爆破のための爆薬筒を仕掛ける最中に爆死した。陸軍省は「覚悟自爆」と発表。当時戦果をあげるのに苦労していた陸軍を中心に,ジャーナリズムも積極的に美談に仕立てあげた。

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世界大百科事典(旧版)内の爆弾三勇士の言及

【肉弾三勇士】より

…上海事変下の軍事美談。爆弾三勇士ともいう。1932年2月22日,上海廟行鎮の戦闘で工兵隊一等兵の江下武二・北川丞・作江伊之助の3名が鉄条網破壊のため爆薬を装てんした破壊筒を抱いて突入,生還に失敗し爆死した。…

※「爆弾三勇士」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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