無担保社債(読み)ムタンポシャサイ

デジタル大辞泉 「無担保社債」の意味・読み・例文・類語

むたんぽ‐しゃさい【無担保社債】

社債担保有無で分類する場合に、担保が設定されていない社債をさす。現在は無担保社債が主流。社債が債務不履行になった場合、額面金額利払いは保証されない。

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改訂新版 世界大百科事典 「無担保社債」の意味・わかりやすい解説

無担保社債 (むたんぽしゃさい)

担保付社債以外の社債の総称。物的・人的担保のまったくない狭義の無担保社債のほか,第三者が社債の元利金の支払につき人的保証を与えている保証社債(政府保証債など)や,特別法によって設立された会社の発行する社債で,その法律によって社債権者が他の債権者に優先して会社の総財産から債権の弁済を受ける権利(この担保権を一般担保またはゼネラル・モーゲージという)を与えられている一般担保付社債電力債など)も無担保社債である。

 日本では,当初,無担保社債が主流であったが,昭和初期に社債償還不能事件が続出したので社債浄化運動が起こり,社債の発行は担保付きを原則とする旨の金融機関の申合せが成立して以来,金融債を除いて,一般事業債では普通社債転換社債ともに担保付きとされてきた。しかし,欧米では無担保社債が主流であるし,担保付社債は担保があるだけ発行コストが高くつく。そこで日本でも,1973年から転換社債が次第に無担保とされ,1985年にはじめて無担保普通社債が発行されて,今日では普通社債も無担保が一般化している。

 社債は一般に委託募集方法で発行されるが,無担保社債の募集委託を受ける受託会社は,従前銀行信託会社に限られていた。しかし,1993年商法改正により,受託会社の資格要件は廃止され(商法中改正法律施行法56条削除),かつ,無担保社債を発行するには,社債管理会社を定めて,社債権者のために社債の管理を委託することを要することとされた。ただし,社債の最低額が1億円以上であるか,社債の総額を社債の最低額で除した数が50を下る場合は,社債管理会社を設置しなくてもよい(商法297条)。
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