漂着神(読み)ひょうちゃくしん

改訂新版 世界大百科事典 「漂着神」の意味・わかりやすい解説

漂着神 (ひょうちゃくしん)

潮流や風によって浜に流れ着く漂着物(寄物)を神としてまつる信仰で,寄神ともいう。この信仰の基盤には,寄物は海のかなたのカミからの贈物あるいはカミそのものとする考えがあり,これを拾う際に,話しかけたり,寸法をはかったりするしきたりが各地でみられた。漂着神としてまつられてきたものには,流木や舟をはじめ,酒樽,玉藻ワカメ,鯨,タコ白鳥など,日ごろ海辺に打ち上げられるものが多い。漁村で大漁の神としてまつられるえびすもまた,漂着神的要素を強くもっている。各地で行われる浜降り祭や磯出祭は,ムラ中の神社の神輿を浜にかつぎ出す行事が中心となっているが,この行事を伝承する神社の神体には,漂着神伝承をもつものが多く,神輿の浜出は,カミが漂着したとされる浜と密接に関係している。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

関連語をあわせて調べる

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android