渡島筆記(読み)わたりしまひつき

日本歴史地名大系 「渡島筆記」の解説

渡島筆記
わたりしまひつき

二巻二冊 最上徳内著

成立 文化五年

写本 国立公文書館内閣文庫

解説 最上徳内は天明五―六年幕府の蝦夷地調査隊に参加して以来、蝦夷島に事あるごとに調査・経営・警備のために九度も派遣されて、蝦夷島全域およびウルップ島を含む南千島およびカラフト島において活躍し、第一次幕領期を通じて最大の蝦夷地探検家として知られていた。その間の経験により「蝦夷草紙」や「蝦夷草紙後編」などのすぐれた著述を著し、アイヌに対して深い理解をもっていた彼が、知識の集大成としてアイヌの風俗・習慣・遊戯・奇譚などを詳細に記したのが本書である。そこでは正確な理解と偏見のない見方全編を貫いている。本書中にはアイヌ通詞上原熊次郎が訳したユーカラ二編の大意がのせられており、ユーカラの最初の翻訳であるという。

活字本 日本庶民生活史料集成第四巻

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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