深夜双書(読み)しんやそうしょ(英語表記)Les Editions de Minuit

日本大百科全書(ニッポニカ) 「深夜双書」の意味・わかりやすい解説

深夜双書
しんやそうしょ
Les Editions de Minuit

第二次世界大戦中、ドイツ軍占領下のパリで秘密出版された文学双書。1942年レスキュールPierre de Lescure(1891―1963)、ドビュ・ブリデルJacques Debû-Bridel(1902―93)、デビーニュYvonne Desvignes、ベルコールらによって始められ、フランスの解放まで、「プロパガンダのため」でなく「人間の精神的純粋さ」を問い続けて、ベルコールの『海の沈黙』以下、マリタン、カスーJean Cassou(1897―1986)、アラゴン、F・モーリヤックジッドエリュアールらの作品を25冊刊行した。質的にまた影響の大きさからも、抵抗文学レジスタンス文学)の代表的作品群である。なお、同名の出版社が現在も活動を続けており、現代文学の最前衛の一翼を担っている。

小林 茂]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の深夜双書の言及

【レジスタンス文学】より

…1940年6月のドイツ軍のフランス制覇から44年9月のフランス解放までの期間,占領下のフランスで誕生した対独抵抗の文学および文学運動を指す。 フランスをその勢力下におさめたドイツ軍は,40年秋1000点あまりの書物の出版・発売を禁止するとともに検閲を強化し,多くの文学者は沈黙を余儀なくされた。この間,ロマン,モーロア,グリーン,シュペルビエル,サン・ジョン・ペルス,ベルナノスらは北アメリカ,南アメリカに亡命し,パリの文壇はドリュ・ラ・ロシェル,セリーヌ,ブラジヤックらファシズムを支持する文学者の独壇場と化した。…

※「深夜双書」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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