消滅放射性核種(読み)ショウメツホウシャセイカクシュ

デジタル大辞泉 「消滅放射性核種」の意味・読み・例文・類語

しょうめつほうしゃせい‐かくしゅ〔セウメツハウシヤセイ‐〕【消滅放射性核種】

かつて超新星爆発などの元素合成過程で生成されたが、放射性崩壊によって自然界から検出不可能なほど消滅してしまった放射性核種。地球上では崩壊生成物や鉱物中にみられる崩壊時の放射線飛跡から、アルミニウム26、マンガン53、鉛107などが、過去に存在したことがわかっている。消滅核種死滅天然放射性核種

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化学辞典 第2版 「消滅放射性核種」の解説

消滅放射性核種
ショウメツホウシャセイカクシュ
extinct radionuclide

太陽系形成時には存在していたが,半減期が短いため現在では消滅したと推定され,天然には存在しない放射性核種根拠はいん石中などに見いだされる異常に大きい同位体存在比(同位体存在度)で,たとえば,129Xe は半減期1.57×107 y の 129I に起因すると考えられている.地球上でも,天然の原子炉が活動していたとされるアフリカのオクロ鉱山付近で,131Xe,132Xe の過剰存在比が報告されている.太陽系の年齢が4.6×109 y であるから,半減期(t1/2)数百万年前後の核種が相当する.ほかには,26Al(t1/2 = 0.72×106 y,娘核種 26Mg),41Ca(0.1×106 y,41K),53Mn(3.7×106 y,53Cr),60Fe(1.5×106 y,60Ni),107Pd(6.5×106 y,107Ag),146Sm(10.3×106 y,142Nd),182Hf(8.9×106 y,182W),244Pu(80×106 y,240U)などがある.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報