浜焼き(読み)はまやき

日本大百科全書(ニッポニカ) 「浜焼き」の意味・わかりやすい解説

浜焼き
はまやき

広島県の郷土料理。とりたての魚を浜辺で焼くのをいうが、古くから浜焼きとはタイを材料とすることになっている。『和訓栞(わくんのしおり)』には「鯛(たい)などを塩を焼く釜(かま)の下に生ながら土に埋(い)けて後焼くなり」とある。『料理談合集』には「鯛をよく洗ひ、土間へ塩を厚く敷き、上へ鯛を置き上より瓦(かわら)を蓋(ふた)にして、後先も瓦にてふさぎ炭火を多く瓦の上よりかけて蒸焼きにし(中略)、急なる時は大竹串(たけぐし)にさして長火鉢の縁へ立てかけて焼く」とある。1905年(明治38)塩専売法(1997年塩事業法の施行により廃止)が施行されてから、浜焼きの方法が変わり、その後数回にわたってつくり方が変わっている。二枚折りの竹の皮の笠(かさ)に挟む包装になってからは、雅趣ある土産(みやげ)物としての用途が多くなっている。

多田鉄之助

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和・洋・中・エスニック 世界の料理がわかる辞典 「浜焼き」の解説

はまやき【浜焼き】

①とれた魚介類をただちに浜で焼いて食べること。また、その料理。海や漁港近く料理店などで、とれた魚介類を焼いて食べるものもいう。
②尾頭つきの鯛の塩焼き。祝いの膳に用いる。瀬戸内海沿岸のものが知られる。

出典 講談社和・洋・中・エスニック 世界の料理がわかる辞典について 情報