改訂新版 世界大百科事典 「浜中」の意味・わかりやすい解説
浜中[町] (はまなか)
北海道東部,釧路支庁厚岸(あつけし)郡の町。人口6511(2010)。太平洋に面し,町域は標高60m内外の丘陵地と霧多布(きりたつぷ)島,嶮暮帰(けんぼつき)島などの小島からなる。気候は寒冷で春から夏にかけて濃霧が多い。中心集落の霧多布は霧多布島の砂州上にあり,1960年のチリ地震の津波で陸繫砂州の一部が切れたため,現在は霧多布大橋により陸地と結ばれる。内陸部の台地上をJR根室本線と国道44号線が通る。1869年(明治2)佐賀藩の支配地となり,同藩が12戸の農工民を移住させたのが定住の最初という。70-71年漁場が榊富右衛門に貸し付けられ,陸奥,福山(松前),箱館から募集した漁民とともに湾奥の榊町付近に集落を形成,以後漁業入植者も増加した。内陸部では1917年ころから茶内原野を中心に開拓が進んだ。霧多布を中心にコンブを主とする沿岸漁業と水産加工,台地上で大規模酪農が行われる。町域南西部は厚岸道立自然公園に含まれ,霧多布湿原や,太平洋と霧多布湿原を一望する榊町高台,海岸美の湯沸(とうふつ)岬(トッカリ岬),海鳥の繁殖地として知られる嶮暮帰島など景勝の地が多い。
執筆者:奥平 忠志
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報