浅虫(読み)あさむし

改訂新版 世界大百科事典 「浅虫」の意味・わかりやすい解説

浅虫[温泉] (あさむし)

青森市街地より北東約16km,夏泊半島の南西部,青森湾にのぞむ温泉。青い森鉄道浅虫駅が温泉街の中にあり,青森市街地に近いという地の利を得て発展し,東北の熱海といわれる。海上には湯ノ島,裸島,鷗(ごめ)島などが浮かび,風光明美な海岸線は夏泊半島と合わせて県立自然公園に指定されている。裸島付近には東北大学臨海実験所と付属水族館がある。春は潮干狩りや磯遊び,夏は避暑海水浴でにぎわい,冬は背後の小松山でスキーも楽しめる。セッコウ泉,56~70℃。かつては数多くの泉源から豊富な温泉水が湧出していたが,乱掘の結果,湯量が激減し食塩泉化がすすんだため,1968年に温泉を統合し,1ヵ所からポンプでくみあげている。地名起源はかつて織布の麻を温泉で蒸したため〈麻蒸〉と呼ばれたという。温泉の起源は古く,平安末期に円光大師(法然)が傷ついた鹿が湯あみしているのを見て発見したといわれる。
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