流政之(読み)ながれまさゆき

日本大百科全書(ニッポニカ) 「流政之」の意味・わかりやすい解説

流政之
ながれまさゆき
(1923―2018)

彫刻家、作庭家。長崎に生まれる。1943年(昭和18)海軍の士官搭乗員となり、いわゆる零戦(ぜろせん)に搭乗した。第二次世界大戦後、石彫を始め、1958年(昭和33)の個展でロックフェラー3世夫人に認められ、サンフランシスコのバンク・オブ・アメリカ本部広場のモニュメント制作したのをはじめ、アメリカ各地で活躍し、スタンフリ画廊などで個展を開いた。日本でもIBM日本ビルのための『のぼり太鼓』などを制作、西武美術館で個展を開催、1974年には日本芸術大賞を受賞した。1966年香川県庵治(あじ)村(現、高松市)に工房を開設。1974年ニューヨークのワールド・トレード・センター広場に『雲の砦』を設置したが、2001年(平成13)のアメリカ同時多発テロによる被害者救助作業の際、現場に重機を入れるために壊された。ほかに、日本映画アカデミー賞のトロフィー『映画神像』、シリーズ「ナガレバチ」「サキモリ」などを制作した。

三木多聞 2018年7月20日]

『『Nagare:Recent sculpture』(1988・日動画廊)』『『Nagare:Recent sculpture 1993・1994』(1994・日動画廊)』『ナガレスタジオ監修『Nagare:Recent sculpture』(1999・日動画廊)』

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「流政之」の解説

流政之 ながれ-まさゆき

1923- 昭和後期-平成時代の彫刻家。
大正12年2月14日生まれ。父は中川小十郎。昭和18年海軍予備学生となり,零戦の搭乗員となる。戦後放浪生活をつづけるが,30年彫刻個展を開催。31年より石彫をはじめ,37年ロックフェラーらの招きで渡米,モニュメントを制作。49年日本芸術大賞,53年中原悌二郎賞,58年吉田五十八賞。長崎県出身。作品に「ながれバチ」「風の砦」など。

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百科事典マイペディア 「流政之」の意味・わかりやすい解説

流政之【ながれまさゆき】

彫刻家。長崎県生れ。父は立命館大学の創立者中川小十郎。1943年海軍予備学生となる。その後京都仏教神道,作刀等を学んだ。1958年初個展。独学ではじめた石彫の作品がアメリカで評価され,モニュメントも多く手がけている。日本の伝統をモダンな形象に生かした,ダイナミックな作品を制作。代表作《ながれバチ》《雲》。

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