日本大百科全書(ニッポニカ)「トロフィー」の解説
トロフィー
とろふぃー
trophy
もとは古代ギリシア・ローマ時代の戦勝記念標をいい、戦利品、戦利品飾り、戦勝記念物なども含めて称した。のち競技の優勝者に授与する賞牌(しょうはい)をいうようになり、優勝旗、メダル、カップ、盾その他の賞品を総称するに至って、現在ではあらゆる分野の競技にトロフィーの授与がみられる。一般に知られるのは運動競技のトロフィーで、台座上に競技の内容を表す彫像をつけたものが多いが、競技の種類により、形状はさまざまである。そのいずれにもオリーブの枝葉を彫ったり飾ったりするのは、ギリシア神話の英雄ヘラクレスが戦勝祝賀式を行った際、オリンピアの野に繁茂しているオリーブを戦勝記念標に飾ったという故事によるといわれる。近代オリンピック第1回アテネ大会(1896)の閉会式では、国王が各競技の優勝者にオリンピアから切り取ってきたオリーブの枝と銀の賞牌を授与したが、以来、優勝杯、優勝盾、優勝メダルその他にもオリーブまたは月桂樹(げっけいじゅ)の枝葉を刻むようになった。
[佐藤農人]