日本大百科全書(ニッポニカ) 「法輪寺(京都市)」の意味・わかりやすい解説
法輪寺(京都市)
ほうりんじ
京都市西京(にしきょう)区嵐山虚空蔵山(あらしやまこくぞうやま)町にある寺。真言(しんごん)宗五智(ごち)教団の本山。智福山と号し、通称嵯峨(さが)虚空蔵で親しまれている。本尊は虚空蔵菩薩(こくうぞうぼさつ)。713年(和銅6)に元明(げんめい)天皇の勅願により行基(ぎょうき)が開創したといわれ、当時は木上山(もくしょうざん)(あるいは日照山)葛井寺(ふじいでら)と称した。当寺の虚空蔵菩薩は、829年(天長6)に中興道昌(どうしょう)が100日修法の満願の日に井戸水を汲(く)もうとしたら井戸から虚空蔵菩薩が出現し、その姿を道昌が模し、空海が開眼供養を行ったものという。1597年(慶長2)後陽成(ごようぜい)天皇の勅願により再建事業が開始され、1606年に落慶。このとき現在の山号に改めた。1864年(元治1)の蛤(はまぐり)御門の変で堂宇の大半が焼亡し、明治・大正期に現在の寺観が整備された。本尊の虚空蔵菩薩は日本三大虚空蔵の一つ。13日は虚空蔵菩薩の縁日であるが、3月13~5月13日の十三参りには、京洛(きょうらく)の13歳になった男女が盛装して虚空蔵菩薩の智慧(ちえ)と福徳を授けてもらうために参詣(さんけい)する。寺宝の木造の持国天立像、多聞天立像は国の重要文化財。
[祖父江章子]