水温[海水](読み)すいおん[かいすい](英語表記)water temperature

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「水温[海水]」の意味・わかりやすい解説

水温[海水]
すいおん[かいすい]
water temperature

海水の温度。海水には塩分などが含まれているので凝固点が降下し,およそ-2℃で結氷する。したがって,およそ-2℃より低い温度の海水は観測されない。一方海洋における海水温の高いほうの限界は 30℃前後である。熱帯地方でも海表面水温が 30℃をこえることはまれである。水温とともに海水の基本的要素として塩分があるが,海水の物性は,2,3のものを除いて温度の影響のほうが塩分よりも大きく,また魚類などはその行動や生活域が水温に最も影響される。このように水温は海の状態を知るための最も重要な要素である。気象漁業航海,軍事にも密接な関係があるので,海洋観測船はもちろんのこと,一般の船舶なども海表面水温を常時測定している。水温の測定の際には水深も必ず同時に測定されることが必要であり,ナンセン採水器に取付けられた転倒温度計,BT,STDX-BTなどの測器類が用いられる。特にX-BTはかなりの高速で船が進行していても水温の鉛直分布が観測でき,しかもデータも自動的に記録紙に記録されるので多用されている。

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