水天宮(福岡県)(読み)すいてんぐう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「水天宮(福岡県)」の意味・わかりやすい解説

水天宮(福岡県)
すいてんぐう

福岡県久留米(くるめ)市瀬下町(せのしたまち)に鎮座。天御中主神(あめのみなかぬしのかみ)、安徳(あんとく)天皇、高倉平中宮(たかくらたいらのちゅうぐう)、平二位時子(ときこ)を祀(まつ)る。すなわち、万物創造の神であり、また水の根源神と信仰しての天御中主神と、1185年(元暦2)3月壇之浦に入水(じゅすい)した安徳天皇、その母高倉天皇の中宮建礼門院(けんれいもんいん)、その祖母二位尼(にいのあま)平時子(清盛妻)を祀る。壇ノ浦の戦いで敗れたあと、建礼門院に仕えていた按察使局(あぜちのつぼね)伊勢(いせ)が筑後川(ちくごがわ)鷺野原(さぎのはら)に逃れ、4柱を奉斎したのが本社起源で、のち伊勢は剃髪(ていはつ)して名を千代と改め、里人のため加持祈祷(かじきとう)をしたことより、尼御前社(あまごぜんのやしろ)とよばれた。のち戦禍を避けて諸所に遷座、近世初頭現在の久留米市新町に遷(うつ)り、さらに1650年(慶安3)藩主有馬忠頼(ただより)により現在地に社殿造営遷座された。一般に、安産水難・火難また子供の守護神として広く崇敬される。例祭5月5、6、7日、夏大祭8月5、6、7日。明治維新の先覚者真木和泉(まきいずみ)(保臣(やすおみ))は本社の第22代の祠官(しかん)である。東京水天宮(中央区日本橋蠣殻(かきがら)町)は、1818年(文政1)有馬頼徳(ありまよりのり)が江戸藩邸内に本社を勧請(かんじょう)したのを起源とする。

[鎌田純一]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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