気憎(読み)けにくい

精選版 日本国語大辞典 「気憎」の意味・読み・例文・類語

け‐にく・い【気憎】

〘形口〙 けにく・し 〘形ク〙 (「け」は接頭語)
① こにくらしい。なんとなくにくい。にくにくしい。腹だたしい。
源氏(1001‐14頃)柏木「聖だつ験者などの、をさをさ世にも聞えず、ふかき山に籠りたるなどをも、おとうとのきみだちをつかはしつつ、たづね召すに、けにくく、心づきなき山伏どもなども、いと多くまゐる」
② そっけない。とりつくしまもない。愛想がない。無愛想である。
※枕(10C終)二三「まいて、いつつむつなどは、ただおぼえぬよしをぞ啓すべけれど、さやはけにくくおほせごとをはえなうもてなすべきと、わびくちをしがるもをかし」
③ けむたい。なんとなく気づまりである。
※枕(10C終)一七九「あぢきなく暁にぞさすなるはいかがはにくきを。親添ひぬる、なほさぞある。〈略〉せうとの家なども、けにくきはさぞあらむ」
けにく‐が・る
〘自ラ四〙
けにく‐げ
〘形動〙
けにく‐さ
〘名〙

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報