殿島村(読み)とのしまむら

日本歴史地名大系 「殿島村」の解説

殿島村
とのしまむら

[現在地名]伊那市大字東春近ひがしはるちか 車屋くるまや中組なかぐみ渡場どば木裏原きうらはら・上殿島・中殿島・下殿島・原新田はらしんでん榛原はいばら沢渡さわんど

天竜川の東岸にあり、村の北側から西側は三峰みぶ川の川筋が境界となっている。古くからの村はこの二川の広い氾濫原の西側の段丘崖下に開け、やがて東方段丘上に新田が開発されていった。段丘は東山麓の貝沼かいぬま村や福地ふくち村からかなり隔たった下のほうにあたるので、この村域には山がない。南は氾濫原や段丘の地形のまま田原たはら村に接する。氾濫原である段丘の下の平は常に洪水に悩まされてきたが、それに対して段丘の上の地方は水不足に悩まされるという二面をもった村である。

中世においてはいわゆる春近領に属していたところから、江戸時代には天竜川を隔てていても対岸の村々とともに高遠たかとお領春近郷の区分に含まれていた。殿島の初見は嘉暦四年(一三二九)三月の鎌倉幕府下知状案(守矢文書)に、「流鏑馬、殿嶋・小井弖・黒河内三ケ郷地頭」とあり、対岸の小井弖郷とともに諏訪社上社に奉仕し、これ以後の諏訪大社上社史料に散見する。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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