歯肉マッサージ(読み)しにくまっさーじ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「歯肉マッサージ」の意味・わかりやすい解説

歯肉マッサージ
しにくまっさーじ

歯肉に適度の機械的刺激を与え、歯肉組織中の血液循環と歯肉上皮の角化(角質化)を促進し、発炎性の刺激に対する抵抗力を高めることをいう。歯肉マッサージによって歯肉組織の血流量を増すことは、栄養の補給老廃物除去によって代謝機能を高めることにつながり、歯肉の健康維持ならびに炎症性の病変の治療に有効であるとされる。しかし、歯肉炎、歯周炎など歯周疾患病因の面から考えると、そのもっとも基本的な予防または治療法は、歯周組織に対する炎症誘発因子である歯垢(しこう)を完全に除去することであり、歯肉マッサージのみではその目的を達成することはできないといえる。

 歯ブラシによる口腔(こうくう)清掃法のなかには、マッサージ効果と歯垢除去効果をあわせて考慮されている方法もある。例として、歯ブラシの毛束の腹を歯肉に圧接し、歯冠側、または歯肉側に回転運動を加えるスティルマン法、スティルマン改良法およびチャーターズ法というのがあるが、これらは歯垢除去効果と歯肉に対するマッサージ効果があるとされている。

[加藤伊八]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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