正法寺(岩手県)(読み)しょうぼうじ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「正法寺(岩手県)」の意味・わかりやすい解説

正法寺(岩手県)
しょうぼうじ

岩手県奥州(おうしゅう)市水沢(みずさわ)区黒石(くろいし)町にある曹洞(そうとう)宗の寺。正しくは大梅拈華山(たいばいねんげさん)円通正法寺という。本尊如意輪観音(にょいりんかんのん)。1348年(正平3・貞和4)神奈川県横浜市鶴見の総持寺第2世峨山紹碩(がざんじょうせき)の弟子無底良紹(むていりょうしょう)が黒石正瑞、長部清長(おさべきよなが)2領主の信仰を得て開いた。1350年(正平5・観応1)崇光(すこう)天皇によって永平寺、総持寺の両本山に次ぐ「曹洞第三の本寺」の資格が認められ、以来、奥州、羽州における無底一派の本山としての役割を果たしてきた。現在、宗門の専門道場となっている。鎌倉時代作の本尊のほか、僧形坐像(ざぞう)3体、紙本墨書正法眼蔵(しょうぼうげんぞう)(以上、県文化財)、正法寺椀(わん)など多くの宝物がある。

菅沼 晃]

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