横蔵寺(よこくらじ)(読み)よこくらじ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「横蔵寺(よこくらじ)」の意味・わかりやすい解説

横蔵寺(よこくらじ)
よこくらじ

岐阜県揖斐(いび)郡揖斐川町にある天台宗の寺。両界山(りょうかいざん)横蔵寺医王院と号する。本尊薬師如来(にょらい)。805年(延暦24)最澄(さいちょう)の開基。村上(むらかみ)天皇(在位946~967)の勅会(ちょくえ)を修して以来栄え、鎌倉時代には38坊を擁する大寺で、『沙石集(しゃせきしゅう)』にもその名がみえる。1585年(天正13)比叡山(ひえいざん)再興のとき当寺の薬師像を根本中堂に移している。戦国時代の兵乱で衰えたが、徳川家康らの外護(げご)により本堂、三重塔など伽藍(がらん)が再興された。寺宝は多く、本尊の薬師如来坐像(ざぞう)(鎌倉時代)はじめ板彫法華曼荼羅(ほっけまんだら)(平安後期)、木造深沙(じんしゃ)大将(平安後期)、同大日如来(だいにちにょらい)(寿永(じゅえい)2年の銘)、同四天王、同十二神将、同金剛力士(仁王)などの諸像が国重要文化財に指定されている。舎利堂には入定妙心法師のミイラが安置されている。

[塩入良道]

『『古寺巡礼 東国6 横蔵寺』(1982・淡交社)』

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