榛名神社(読み)はるなじんじゃ

精選版 日本国語大辞典 「榛名神社」の意味・読み・例文・類語

はるな‐じんじゃ【榛名神社】

群馬県群馬郡榛名町にある神社。旧県社。祭神は火産霊(ほむすび)神、埴山毘売(はにやまびめ)神。用明天皇元年(五八六)の創祀と伝えられる。

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日本歴史地名大系 「榛名神社」の解説

榛名神社
はるなじんじや

[現在地名]榛名町榛名山

榛名山の火口原湖榛名湖の西南、榛名川上流の奥谷にある。祭神は火産霊神・埴山毘売神。旧県社。「延喜式」神名帳群馬郡三座のなかに社名がみえ(小座)、上野一二社の一つに数えられている。社伝によれば、綏靖天皇の代に物部氏の祖宇麻志麻治命が東国遠征の際山上に神を祀ったことに始まり、のち用明天皇の丙午の年に初めて社殿が造営されたという。しかし起源については諸説がある。社殿裏の巨石をお姿岩として祀った岩石崇拝から起こったともいわれる。元来榛名山を神体とする自然崇拝から始まったものであるが、近年の研究によると、鎮座地の地形・位置などから考えて初めは現在地にあったものではなく、旧地を東南麓の箕郷みさと町東南部から榛名町東南部にかけての地域に求められるという。古代の榛名山南麓一帯には古墳や神社の存在からかなり強大な豪族がいたことが知られている。その後の神仏習合思想により修験者の道場として現在地に移されたものであろう。

研究の余地のある文書であるが、建久元年(一一九〇)一二月日付上野国留守所下文(榛名神社文書)によれば、榛名山は鎮護国家のため祈念する霊地であり、榛名寺領内に健児と検非違両使が入ることを旧例に任せて禁止している。榛名寺は神仏習合時代の榛名神社の別当寺であった。社蔵の元亨三年(一三二三)二月一八日の年紀をもつ鉄灯籠銘(県指定重要文化財)には満行まんぎよう権現とあり、これは榛名神社の仏名にあたる。榛名神社は榛名山と一体のものと理解されており、榛名山(観応三年五月九日付「今川範国施行状」鎌倉市中央図書館蔵など)と称されることが多かった。榛名神社文書には榛名・椿名・春名などの混用がみられる。なお、「上信日記」に引く文永五年(一二六八)の鐘銘には「榛名巌寺」、貞治二年(一三六三)一二月二九日付足利基氏御教書写(相州文書)には満行寺とみえる。

南北朝時代の様子は「頼印大僧正行状絵詞」によって知ることができる。頼印は榛名山の人で、五歳のとき鎌倉永福ようふく寺に入って二条殿僧正正房道承に仕え、のちに榛名山の執行職となった。一四歳のとき鎌倉鶴岡八幡宮の別当頼仲に仕え、次いで榛名山の南朝勢力を駆逐し、足利幕府と結んで上野国内に一大勢力を振るい、これらを背景にして榛名神社は栄えた。修験道場として一時は三千一〇〇坊といわれる一大霊場を形成した。前掲今川範国施行状は頼印宛のもので、榛名山執行職と寺領三蔵さんのくら(現倉淵村三ノ倉)が与えられている。

榛名神社
はるなじんじや

[現在地名]沼田市 榛名町

薄根うすね川の左岸、沼田城跡のある台地直下、字根岸ねぎしにある。波邇夜麻比売神・倭建命・菅原道真・建御名方命の四柱を祭神とし、旧県社。正応三年(一二九〇)三月三〇日の春名権現鐘銘(古鐘銘集成)に「利根庄内臼根郷春名権現」とみえる。総社本「上野国神名帳」にみえる従二位碓根うすね明神を当社と推定する説もある。社伝によると、享禄三年(一五三〇)城主沼田顕泰は当地に鎮座した碓根大明神(祭神天満天神)に沼田城地にあった宝高ほたか大明神(祭神武尊大明神)を合祀。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「榛名神社」の意味・わかりやすい解説

榛名神社
はるなじんじゃ

群馬県高崎市榛名山に鎮座。旧県社。祭神は火産霊(ほむすび)神、埴山毘売(はにやまひめ)神。例祭5月15日。用明(ようめい)天皇元年の創祀(そうし)と伝え、延喜式(えんぎしき)内の小社。「上野国神名帳(こうずけのくにじんみょうちょう)」では正(しょう)一位、当国六宮(ろくのみや)。もと満行権現(ごんげん)とも称したが、明治初年に榛名神社と改称。江戸末期まで上野寛永寺(かんえいじ)の管下に属し、社家・社僧3100坊を有した。年中祭祀(さいし)に、天狗(てんぐ)祭(1月1日)、筒粥(つつがゆ)神事(同15日)、神楽祭(2月15日)ほかがある。

[沼部春友]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「榛名神社」の意味・わかりやすい解説

榛名神社
はるなじんじゃ

群馬県高崎市榛名山町に鎮座する元県社。満行権現(まんぎょうごんげん)ともいう。祭神はホムスビノカミ,ハニヤマヒメノカミ。本殿,国祖社,額殿,神楽殿,双龍門などは国の重要文化財に,矢立スギは国の天然記念物に指定されている。例祭 5月15日。

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デジタル大辞泉プラス 「榛名神社」の解説

榛名神社

群馬県高崎市、榛名山中腹にある神社。延喜式内社。祭神は火産霊神(ほむすびのかみ)、埴山毘売神(はにやまひめのかみ)。本社、幣殿、拝殿は国の重要文化財、境内にある矢立スギは国の天然記念物に指定。

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世界大百科事典(旧版)内の榛名神社の言及

【榛名[町]】より

…榛名山や榛名湖は榛名県立公園に属し,湖畔には観光・宿泊施設が多い。榛名山麓にある榛名神社は雨乞いの神として関東各地の崇敬を集めている。参道脇に矢立杉(天)がある。…

【榛名山】より

…火口原は榛名高原とも呼ばれる草原で,ここから榛名富士山頂へはロープウェーが通じている。榛名山の南を刻む榛名川の河谷には,古くから山岳信仰の参拝者を集めてきた榛名神社がある。【森山 昭雄】
[信仰]
 榛名山の信仰的要素は赤城山のそれと類似する点が少なくない。…

※「榛名神社」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」