楚(春秋戦国時代)(読み)そ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「楚(春秋戦国時代)」の意味・わかりやすい解説

楚(春秋戦国時代)

中国、長江(ちょうこう/チャンチヤン)中流域に本拠をもち(都は郢(えい))、春秋戦国時代を通じて、華北の諸国と対立した国。春秋時代には湖北省を勢力圏として河南・安徽(あんき)両省に勢力を伸ばし、戦国時代にかけて湖南を勢力圏に加えていった。春秋中期以後、県の設置を通して地方を掌握し、陳(ちん)、鄭(てい)、宋(そう)など中原(ちゅうげん)諸国や山東の斉(せい)、山西の晋(しん)と対峙(たいじ)した。荘王や霊王(在位前540~前529)が名高い。春秋後期には、江蘇(こうそ)の呉(ご)やこれを滅ぼした越(えつ)と安徽方面で対立する。頃襄王(けいじょうおう)(在位前296~261)のとき、諸国が宋を滅ぼしにかかったのに参戦し、また越の本拠を何度もの攻撃でやっと攻略する。しかし、こうして東方計略に足をとられているすきに、前279~278年の攻撃で秦(しん)に湖北、湖南を奪われ、以後東に都を移した。前223年、秦に滅ぼされた。

[平勢隆郎]

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