棕櫚・椶櫚・棕梠(読み)しゅろ

精選版 日本国語大辞典 「棕櫚・椶櫚・棕梠」の意味・読み・例文・類語

しゅ‐ろ【棕櫚・椶櫚・棕梠】

〘名〙
① ヤシ科の常緑高木。九州の沿海地の原産で、今日では観賞用などに暖地で広く栽植される。幹は直立して高さ三~七メートルになり、棕櫚皮という黒褐色の繊毛のある古い葉鞘(ようしょう)に包まれる。葉は幹の先端に叢生し、長柄をもつ。葉身は径六〇~九〇センチメートルの扇形線形の裂片に深く裂ける。裂片の先端はとがり中脈をはさんで多くは二つ折れになる。雌雄異株。春、淡黄色の小花を多数密につけ、下部に大形の仏炎苞(ぶつえんほう)がある。果実は径約一センチメートルの球形で黒熟する。材は床柱・欄干・撞木(しゅもく)に用いられ、棕櫚皮の繊維で綱・敷物・箒・たわしなどを作る。漢名、棕櫚。わじゅろ。〔十巻本和名抄(934頃)〕
※俳諧・曠野(1689)二「椶櫚の葉にとまらで過る胡蝶哉〈梅餌〉」
② 紋所の名。①の葉の開いた形を図案化したもの。棕櫚、抱き棕櫚、三つ割棕櫚などとその種類は多い。
※太平記(14C後)三一「麓には白旗中黒。栟櫚葉(シュロのは)梶の葉の紋書たる旗共、其の数満々たり」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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