棄妻(読み)きさい

日本大百科全書(ニッポニカ) 「棄妻」の意味・わかりやすい解説

棄妻
きさい

古代の令(りょう)制において、一定の原因のある場合に、夫が一方的になしうる離婚をさす。その原因とは、七出之状(しちしゅつのじょう)、すなわち無子(妻が50歳になっても男子がない)、淫佚(いんいつ)(姦通(かんつう))、舅(しゅうと)・姑(しゅうとめ)に仕えず、口舌(くぜつ)、盗窃妬忌(とき)(嫉妬(しっと))、悪疾の七つの事由のうちのいずれか一つである。もっとも淫佚および悪疾の場合を除いて、夫が妻をめとるとき賤(いや)しくて、のち貴い身分になったというような事由があるときは、離婚できなかった。この事由は三つあり、これを三不去とよんだ。棄妻には、夫の祖父母父母の同意が必要である。夫は棄妻の場合、その旨の届書を自分で書き、その尊属近親の同意を得て、所轄の官司に提出することが必要であった。

石井良助

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

普及版 字通 「棄妻」の読み・字形・画数・意味

【棄妻】きさい

妻をすてる。

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