桑紙(読み)くわがみ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「桑紙」の意味・わかりやすい解説

桑紙
くわがみ

クワ(桑)の靭皮(じんぴ)繊維原料とした和紙。桑枝紙(くわえだがみ)または桑皮紙(そうひし)ともいう。クワはコウゾ(楮)と同じ科の植物で、飛鳥・奈良時代にすでにクワを用いた紙が試作されたに違いないが、歩留り(加工する場合の原料と製品の分量割合)が悪いことと、クワは養蚕のための葉の採取第一義枝条の適宜な成長を待てないこと、また作業の季節的要因にも左右されることなどから一般化しなかった。しかし、元和(げんな)年間(1615~24)の文献や中国の文献にもこの紙名が出てくる。近年まで長野県や山梨県にこれをつくる業者があった。

[町田誠之]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

排外主義

外国人や外国の思想・文物・生活様式などを嫌ってしりぞけようとする考え方や立場。[類語]排他的・閉鎖的・人種主義・レイシズム・自己中・排斥・不寛容・村八分・擯斥ひんせき・疎外・爪弾き・指弾・排撃・仲間外...

排外主義の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android