柳は緑、花は紅(読み)やなぎはみどり、はなはくれない

故事成語を知る辞典 「柳は緑、花は紅」の解説

柳は緑、花は紅

自然がありのままの状態であることのたとえ。また、春の美しい景色のたとえ。

[使用例] 柳は緑、花は紅、そのほかに何の奇があるといます。しかし実際はこうそっない世の中ではありません。柳に舟をつなぎたくなったり、花の下で扇をかざしたくなるのが人情であります[夏目漱石*創作家の態度|1908]

[由来] 「五灯会元―八」に出て来る、一〇~一一世紀、ほくそう王朝時代の中国の僧、しゅせんぐうけんが作った詩の一節から。「秋至れば山寒く水冷ややかに、春来たれば柳は緑、花は紅なり(秋になると山は寒々しく、水は冷たくなるし、春になれば柳には緑の芽が吹き、木々に赤い花が咲く)」とあります。また、おそらくはこれを踏まえて、酒仙遇賢から数十年後の文人しょくは、「柳は緑、花は紅、しんめんぼく(柳が緑の芽を吹き、木々が赤い花を咲かせるのは、自然の本来の姿だ)」と述べています。

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