林寺(読み)はやしでら

日本歴史地名大系 「林寺」の解説

林寺
はやしでら

野洲やす郡にあった古代寺院。跡地は明らかではない。天平宝字六年(七六二)閏一二月二九日の造石山院所解案(正倉院文書)の「信楽買筑紫帥藤原殿板屋弐宇」の内訳と壊運に要した経費について記した部分の書入れに、「右、依大僧都宣、附近江(夜須郡)林寺僧宝(北殿)并法宣師等(禅師并林寺)充功食料、自本所迄潮漕如件」とある(「造石山院所用度帳」同文書)。同五年から六年にかけてなされた石山いしやま(現滋賀県大津市)増改築の際、当時筑紫帥であった藤原豊成所有の板屋二宇が購入され、紫香楽しがらき(現同県信楽町)辺りから石山寺へ運ばれた。この解体・運送を請負った「信楽殿板屋壊運僧等所」(信楽殿壊運所・板屋壊運僧等所などとも記される)を構成していたのが、夜須やす(野洲)郡にあった林寺の僧、慶宝(ほかでは鏡宝ともみえ、宝慶は誤り)と法宣であったことが確認できる。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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