東西蝦夷山川地理取調図(読み)とうざいえぞさんせんちりとりしらべず

日本歴史地名大系 「東西蝦夷山川地理取調図」の解説

東西蝦夷山川地理取調図(山川地理取調図)
とうざいえぞさんせんちりとりしらべず

各四八×三六センチ 木版色刷 松浦武四郎 安政六年 北海道大学附属図書館蔵

解説 首二鋪、一―二六鋪、尾の二九鋪からなる。弘化二年以来六度の蝦夷地探検によって北海道の全沿岸を三周、カラフト南部沿岸を二周し、さらにはクナシリ島・エトロフ島まで訪れた松浦武四郎が、安政四―五年に箱館奉行の命で前人未踏の内陸の調査を行ったのちに刊行した詳細な蝦夷島および南千島諸島の区分図。全体は二六枚の切図よりなり、各図は経緯度各一度の折畳図となっている。蝦夷島の輪郭伊能忠敬間宮林蔵の蝦夷地沿海実測図を初めて利用しているので、これまでのどの地図よりも正確であるばかりでなく、内陸部にも河川湖沼・山々が詳細に描かれ、とくにアイヌ語地名が沿岸部のみならず河川の上流までびっしりと記入されている。運上屋・会所・泊所・番屋・小休所・村・蝦夷村・舟澗・蝦夷人出稼所などの記号が地図上に記され、人の通れる通路が朱色点線で表されているほか、河川や海・湖沼を青く塗り、山や沢の表現には緑色のケバ線を用いるなど工夫が随所になされている。首巻凡例に全体の索引図を付したのは現代の区分図の先覚であり、道案内をしてくれたアイヌの名簿をのせているのは前代未聞措置であった。尾部には人別や泊所などの一覧が載る。なお北海道大学附属図書館には、これらの地図全部をつなぎ合せた二三六×三五三センチの大地図も所蔵されている。「アイヌ語地名資料集成収録

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報