朝妻郷(読み)あさづまごう

日本歴史地名大系 「朝妻郷」の解説

朝妻郷
あさづまごう

和名抄」東急本は「安佐都末」(アサツマ)と訓ずる。平城京長屋王家木簡に「坂田郡旦女里穴(ママ)主寸□」とあり、また「興福寺官務牒疏」には「歓喜光寺、在坂田郡朝儒東宇賀野」とあるところから旦女・朝儒と書くこともあったらしい。また「旦女」のよみは旦はアサ、女はメでアサツメであろうし、アサツメと訓ずることがあったのかもしれない。永延二年(九八八)一一月八日付の尾張国郡司百姓等解(宝生院文書)によれば、尾張守藤原元命は旧例を無視して国雑色人と部内の人民などに夫馬役を課し、京都・朝妻両所に雑物を運送させたとして非法を糾弾されている。

朝妻郷
あさつまごう

「和名抄」に「朝妻」と記され、訓を欠く。「新編常陸国誌」に「按ズルニ、朝妻ノ郷名亡ビテ伝ハラズ、然レドモ推考スルニ、今ノ鷲子村」とあり、「遊方名所略」に「那珂郡朝妻山」とみえるという。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

世界大百科事典(旧版)内の朝妻郷の言及

【朝妻】より

…東山・北陸両道の分岐点箕浦のすぐ西に位置していたため古代より湖北の要港として栄えた。《和名抄》に坂田郡九郷の一つとして朝妻郷がみえ,《延喜式》には皇室の御厨として朝妻筑摩の名がみえる。鎌倉期には朝妻郷の地域を中心とする朝妻荘があり,当初法勝寺領であったが,亀山院―昭慶門院―恒明親王―臨川寺と伝領された。…

※「朝妻郷」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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