アサ(読み)あさ

精選版 日本国語大辞典 「アサ」の意味・読み・例文・類語

アサ

(Asa) ユダ王国第三代の王。偶像礼拝を排し、宗教改革を断行した。

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改訂新版 世界大百科事典 「アサ」の意味・わかりやすい解説

アサ (麻)

狭義にはタイマ(大麻)の別称であり,それから採れる繊維をもさす。また,広義にはタイマに類似した靱皮繊維を採る植物,およびその繊維の総称でもある。アサと呼ばれる植物には,タイマ(アサ科)のほかに植物学的には直接的な類縁がないチョマ(苧麻,カラムシ),ボウマ(莔麻,イチビ),コウマ(黄麻,ジュート,ツナソ),アマ(亜麻),ケナフ(洋麻)などがある。タイマと同様これらの茎の表皮のすぐ下の部分(靱皮)から繊維が採れる。なお,単子葉植物で葉から繊維を採るマニラアササイザルアサとその繊維(組織繊維)も広い意味でのアサに含まれる。しかし,双子葉植物から採る靱皮繊維と,単子葉植物から採る組織繊維とでは,繊維の調製方法や繊維の性質がかなり異なる。アサと呼ばれると,このように多くの繊維植物が関係するが,一般的には,タイマのことをアサと呼ぶことが多い。
タイマ
執筆者:

麻繊維には茎の靱皮部の繊維と葉の維管束繊維を用いているものがある。前者は靱皮繊維といい,アマ,タイマ,カラムシ(チョマ),ジュートの繊維で,軟らかい繊維なので衣料用とされる。後者は組織(または葉脈)繊維といい,マニラアサ,サイザルアサなどのじょうぶな硬い繊維で,ロープなどとして使われる。ワタに比べて不純物が多く,ペクチンヘミセルロース,蠟質,色素などを多量に含有しているので,原料採取後,紡績工程に入るまでに前処理が必要である。

(1)リネン アマ繊維(フラックス)で作った糸,またこの糸で織った織物。リンネルとも呼ばれる。太古から全世界的に使われていた繊維で,19世紀の初めには全繊維消費の1/3を占めていたこともあったが,産業革命によって綿花に押されて使用量が急減した。しかし麻繊維はその特性のため重要性には変りなく,最近はポリエステルとの混紡によりアサの特色を生かしたまま,しわになりにくい衣料が作られるようになり,需要が増加している。リネンは絹に似た外観をもち,強度が大きくナイロンの1.3倍,綿の1.6倍に達し,湿潤時にさらに増加する特性を示す。伸度は小さい。吸湿性が大きく(標準時で10~12%),また水分の吸収発散が速いので,その揮発の際,布から蒸発潜熱を奪い,熱の伝導性に優れているので,リネン布は涼しく,着心地がよい。リネンの組成はセルロース70~85%から成る。染色は一様に染まらない。日光,熱湯,アイロンかけ(204~232℃)によく耐えるが,酸,アルカリ,漂白粉に強くないので,漂白は天日晒(さらし)と薬品晒とが併用される。リネンの手触りはやや固めであるが,柔らかく仕上げることもできる。柔軟性と保温性に欠け,しわになりやすい欠点をもつ。アマは中国で一番多く生産され(1995年で25万t),フランスや,ロシア,ベラルーシウクライナなど旧ソ連でも作られている。日本では北海道で栽培されていたが,輸入品に押されて栽培は絶えた。世界のアマの生産高は約58万t(1995),日本では約1.7万tが輸入された(1995)。

(2)ラミー(チョマ) 温帯から熱帯地方にかけて栽培され,1.5~2.4mに育つチョマの茎から得られる。中国,日本など温帯にできる葉裏に銀白色の毛が生えている白葉チョマと,インド,東南アジアなど熱帯にできる緑葉チョマがあるが,それからの繊維は区別しないでチョマまたはラミーと呼ばれる。ラミーは絹に似た光沢をもち,繊維の外観は幅広のリボン状で,長さは10~40cm。強度は天然繊維の中では最も強い。日本へは,ラミーは中国,ブラジル,フィリピンから約3000t(1995)輸入された。チョマ(カラムシ)で織った夏の和服地を上布といい,越後上布,薩摩上布などがあり,また一部タイマを混織した能登上布がある。

(3)タイマ 旧ソ連,ヨーロッパ,アジア(インド,中国など),南アメリカ,アメリカ合衆国で栽培される。おもに綱,緒糸(おいと),麻糸,梱包(こんぽう)用布,袋,ラグカーペットの基布に用いられる。繊維長は120~200cmと長い。カビ,虫,日光に高い抵抗性をもつ。

(4)ジュート(コウマ) おもにインド,パキスタン,中国で栽培され,アサの中では最も生産量が多く世界生産高は約289万t(1995)。白色ないし褐色の光沢ある繊維である。ジュートはアマやワタと異なり,セルロースとリグニンの化合物であるリグノセルロースからできている。このため,日光に対する抵抗性は低く,繊維はもろく,染色は困難である。装飾布,バッグ,綱,ラグカーペット,カーペット基布に用いられる。
麻織物 →繊維
執筆者:

日本における麻類栽培の起源はきわめて古く,古墳時代はもとより有史以前にまでさかのぼり得るとされている。古典的な意味で麻と表現された繊維植物はかなり多様であったと推定されるが,少なくとも大麻および苧麻の2種が紀元以前において人為的に栽植されていたことはほぼ確実とされている。下って,7世紀以降の律令体制下にあっては麻および麻布などの加工品は重要な租税の一端であり,国家的な政策としても栽培が奨励されるようになった。また,《日本書紀》《風土記》《古語拾遺》《万葉集》などにも〈麻種〉〈麻蒔〉〈麻植〉〈麻打〉〈麻績〉などの麻の栽培から加工にいたる各種の表現が頻繁に見られることは,この時期での麻作の顕著な発達と農作物としての重要性の程度を知る指標となり得よう。さらに,10世紀初期の《延喜式》に記すところでは,〈麻苧(まお)〉およびその加工品の朝廷への貢進は26ヵ国から行われており,その範囲は今日でいう北関東以西九州に至るほぼ全域を含み,そのうち信濃,常陸,安房,上総の諸国からは苧麻類が貢納されている。中世以降の麻作は上納物としてのみではなく商品生産としても顕著に発達を遂げていった。さらに,室町時代以降近世に至っては特産品として大名,諸藩による半ば強制的な保護奨励も盛んに行われるようになった。なかでも,上杉氏および島津氏による苧麻の栽培奨励は著名である。以来,越後,米沢,会津,琉球などの諸地方はその後現代に至るまで苧麻の特産地として知られるようになった。そのほか,近世における著名な大麻作地帯は陸中,信濃,越後,甲斐,上野,下野,下総,若狭,越前,丹波,丹後,但馬,因幡,出雲,石見,安芸,備後,豊後,肥後などの諸国に属する地方であった。各麻作地帯は全国各地での商工業,漁業の発展などとそれぞれ独自の結びつきを開拓しながら発達を遂げた。したがって,栽培方法や収穫後の加工調整方法も各地方それぞれの加工目的に見合うものとして発達した。上記の中でも,畳表経糸(たていと)用麻の主産地であった備後,信濃の麻作地帯,漁網用麻の生産地として安芸,若狭,越後,下野などの麻作地帯,織物,蚊帳用麻の生産地として上野,下野,越前,信濃の麻作地帯は生産量も多く重要だった。

(1)大麻 明治初年,大麻作は維新後の国内市場の拡大により優良な麻を生産する地方はほぼ一様に作付面積が増大した。しかし,その後の全国総作付面積は明治20年代初頭の1万4000ha台から30年前後の2万5000ha台へと順調な発展を遂げながらも,この時期を最後として日本の大麻作は一路衰退の過程をたどった。その原因は,開港後の庶民消費の新しい拡大,漁業における新技術の採用といった麻作に有利な条件と,漁網および日常衣料原料への機械綿糸の採用という麻作の将来に対する決定的ダメージを与える条件とが交錯しながら進行していたからである。以後の大麻栽培は栃木県に集中して偏在的に行われ,昭和初年で全国総作付面積の約50%が集中した。これを支えたものは軍需原料の自給体制確保を目ざす国の政策的関与であった。また,その基礎の上に栃木県の麻作は他繊維による代替性が比較的に弱い民需部分(下駄芯縄,畳表経糸,漁網身網など)に応えて独り頑強に存続し得たのである。

(2)苧麻 明治初年以降の苧麻作消長も大麻作とほぼ同様の事情の下にあった。全国総作付面積のピークは明治30年代にあり,以後大正初年へかけての全国総作付面積の減少も大麻作同様に急ピッチで進んだ。1905年の全国総作付面積は2406haであり,新潟県の285haを筆頭に大分,山形,兵庫,宮崎,広島,秋田,福島,岐阜の順で各県に100ha以上の作付面積があったが,大正末年には全国合計で100ha強にまで減少した。大正期には苧麻紡績工業の発達があったが,原料はおもに中国からの輸入に仰いだため国内苧麻作を回復させるには至らなかった。その後,昭和8年以降になって再び逐年増加した理由も大麻と同様に軍事的事情からの政策的奨励の結果であった。

(3)亜麻 日本には古来からの亜麻栽培はなく,江戸時代中期に行われた薬用目的の試作が最初であったとされている。さらに,明治初年以来,北海道開拓使によってドイツ産あるいはロシア産種子を試作するなどの努力がなされていたが,加工調整の技術が不明であったため一般には栽培が普及するに至らなかった。その後1887年に創立された北海道製麻会社(1890操業開始)はベルギーから老農を招き栽培,加工の伝習を受けるなど自社の原料自給を目ざして亜麻栽培に努力を払った結果,以来北海道において栽培が盛んになり,1921年の最盛時には4200haを超える作付面積を見るに至った。
執筆者:

麻糸は運命を象徴する。ギリシア人は,人間の誕生から死に至るまでの運命は,運命の三女神(モイラたち)が糸を紡ぎ始め,適当な長さになればそれを断ち切るといった形で決まるのだと考えたからである。他方,麻糸は安くてじょうぶだから絞首刑のためのロープに使われた。そこで麻糸が運命,とりわけ死刑という悲運のイメージに結びつけられるようになったとも考えられる。またアサの花は〈確信〉を意味する。それは庭師がこの花の咲いているのを見つけると,そうした土地にはどんなものでも生えるので,確信をもって種をまくことができたからであるという。麻薬という言葉の中に,〈麻〉という字が使われていることからもわかるように,実際,麻薬であるハシーシュマリファナはアサの一種であるタイマからつくられ,こうした麻薬は人間に一種の幻覚状態をもたらす。そこで,古代ギリシアの巫女や中世ヨーロッパの魔女たちは,そうした麻薬を使って陶酔状態に陥り,未来のことがらについて不可解な予言を口走ったとされている。
麻の葉模様
執筆者:

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「アサ」の意味・わかりやすい解説

アサ
あさ / 麻

狭義にはアサ科(APG分類:アサ科)の一年草、タイマ(大麻)Cannabis sativa L.の別称で、それからとれる繊維もさす。広義には長い繊維のとれる植物と、その繊維の総称としても用いる。この場合のアサは、タイマと同じく茎のすぐ下の部分(靭皮(じんぴ))から繊維がとれるチョマ(カラムシ)、イチビ(ボウマ)、コウマ(ジュート)、アマなどの植物とその靭皮繊維をさす。また、葉から繊維をとる単子葉類のマニラアサ、サイザルヘンプ、モーリシャスアサ、ニュージーランドアサなどとその組織繊維も広い意味でのアサに含まれる。しかし、双子葉植物からとる靭皮繊維と単子葉植物からとる組織繊維とでは、繊維の調製方法や繊維の性質はかなり異なっている。この項ではおもにタイマについて解説する。

 タイマは原産地は中央アジアから西アジアといわれ、カスピ海沿岸からシベリア南部、ヒマラヤ、北インドに及ぶ広い地域に野生している。古い時代から繊維をとるために栽培され、世界の主産国は、中国、インド、ルーマニアなどで、日本では栃木県、長野県が主産地である。西インド諸島やアメリカ、イギリスではマリファナmarijuana、インドではバンbhang、ガンジャganja、ペルシア語、アラビア語ではハシーシhashishとよばれる。葉は細長い楕円(だえん)形の小葉3~9枚からなる掌状複葉で、葉柄は長く、茎の下部では対生、上部では互生する。茎は四角柱状でまっすぐに伸び、空洞、高さは2~3メートルになる。雌雄異株で、夏に開花する。雄花には大きな葯(やく)をもった5本の雄しべと5枚の萼片(がくへん)があり、黄緑色で、枝の先端に円錐(えんすい)形に集まって咲く。雌花は茎頂に短い穂状につき緑色で、花柱が2本に分かれた雌しべを1本もつ。秋に直径3ミリメートルほどの灰白色の殻をかぶった扁球(へんきゅう)形の果実が熟す。草全体に独特の悪臭がある。

[星川清親 2019年12月13日]

利用

タイマの繊維は強靭で、弾性が強く、耐水、耐久性にも優れ、織物、網、糸などに広く利用されていた。近年は化学繊維に押され減少の傾向にあるが、通風性に優れ夏着などに需要はなお高い。夏に茎を収穫し、蒸して皮をはぎ、繊維をとり乾燥する。水中に浸して発酵させてから繊維をはぐ方法がとられることもある。皮をはいだあとの茎は、古くタイマを苧(お)とよんだことから苧殻(おがら)とよばれ、屋根葺(ふ)きの下敷き、盂蘭盆(うらぼん)の迎え火・送り火、また懐炉灰の原料として用いる。苧実(おのみ)とよばれる種子は食用とされ、五穀の一つに数えられることもある。現在でも七味唐辛子に調合して用いる。小鳥の餌(えさ)にもする。種子には30%の油を含み黄緑色をした乾性油が得られる。ワニスやせっけんの原料、ペンキの溶剤に用いる。

[星川清親 2019年12月13日]

栽培史

アサ(タイマ)はボルガ流域のスキタイ人が紀元前2000年ころ最初に利用し始めたと推定されている。ギリシアでは前5世紀にヘロドトスが記録しているが、栽培は広がらず、古代エジプトやローマでも普及しなかった。インドでは前9世紀ころから薬用にされていた。中国では前5世紀の『書経』に最初に名があり、6世紀の『斉民要術(せいみんようじゅつ)』は繊維用と種子油用の栽培について記している。日本へは古代に渡来し、ワタが利用される以前の重要な繊維源で、和紙の原料としても重要であった。『常陸国風土記(ひたちのくにふどき)』(723ころ)の行方(なめがた)郡に麻生(あそう)の里の名がある(現在の茨城県行方市)。

[湯浅浩史 2019年12月13日]

薬用

漢方では成熟した種子の中の仁(じん)を麻子仁(ましにん)、中国では火麻仁(かまにん)といい、脂肪油を35%も含有し、緩下、利尿作用があるので老人や虚弱者の便秘や腹水の治療に用いる。タイマは麻酔性のテトラヒドロカンナビノール(THC)とよばれる化学成分を含み、古くから幻覚剤として快楽、宗教、また医療などに利用されてきた。これが「麻酔」の語源である。THCは産地により含有量に差があり、とくにその1変種インドタイマC. s. var. indicaはその成分を多量に含む。日本産のアサにはTHCはごく少ない。それでも江戸時代には芽を食べ錯乱状態になり、眠りこけたと『甲子夜話(かっしやわ)』に記されている。また品種によっては幻覚物質を含まないものもある。インドでは古来より、茎の分泌物チャラス、開花した雌株の頂部を乾かしたガンジャをたばこのように吸う。後者はハシーシとかマリファナとよばれる。また、乾燥させた茎や葉をミルクに浸して飲むバンなどが好まれてきた。またイスラム教の一派のハシシン派(アサシン派ともいう)は敵方を暗殺するのにタイマ吸飲者を使った。英語のassassin(暗殺者)はこれに由来している。また中国でも医療用として使用された記録がある。

 現在、マリファナや、チャラスの常用者が犯罪などを引き起こすことが多く、また健康にもよくないなど世界的な社会問題となっており、日本国内では大麻取締法により栽培、所持、飲用その他が規制されている。なお、大麻取締法にふれるアサは、カンナビス・サティバであるが、アメリカでは、アサ属をC. ruderalis Janisch.とC. indica Lamの2種あるいはそれ以上に細分しており、これらは規制された種でないから大麻取締法に抵触しないとする法廷論争が展開された。しかしC. ruderalisの果実が穂から離れやすい性質、C. indicaの小さい葉と果実、丈の低さなど、いずれもC. sativaの変異の範囲に入れ、アサ属は1種であるとの見解が広く支持されている。

[湯浅浩史 2019年12月13日]


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栄養・生化学辞典 「アサ」の解説

アサ

 [Cannabis sativa].イラクサ目アサ科アサ属に属する.実をアサの実,おの実といってスパイスにする.

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世界大百科事典(旧版)内のアサの言及

【着物】より

…〈着るもの〉という意味から,衣服と同義語として用いられることもあるが,洋服に対して在来の日本の着物,すなわち和服を総称することもある。しかし現在一般に着物という場合は,和服のなかでも羽織,襦袢(じゆばん),コートなどをのぞく,いわゆる長着(ながぎ)をさすことが多い。これは布地,紋様,染色に関係なく,前でかき合わせて1本の帯で留める一部式(ワンピース)のスタイルのもので,表着(うわぎ)として用いる。以下〈着物〉の語はおもに長着をさして使う。…

【白布】より

…古代以来,青苧(あおそ)等の麻苧を原料としてつくられた衣料。すでに律令制時代に貢納・自給のため全国的に生産されていた。平安末期から鎌倉時代には,残存史料によると青苧生産地の甲斐(小井河荘),常陸(村田荘),上野(土井荘),備前(長田荘),豊前(糸田荘),薩摩(入来院)等の諸荘園から公事物として白布が貢納されている。鎌倉末期以降になると青苧等麻布原料の商品化によって,それらが京都,奈良,天王寺等の都市麻織業者に供給されて,製品白布はこれらの都市の白布座・布座で売られるようになる。…

【繊維】より

…繊維とは細い糸状のものをいい,生糸のように600~700mの長さのフィラメント(ほぼ無限の長繊維)と,綿花のように10~50mmの長さの短繊維とがある。太さ2~3デニール(d)の細い生糸は数本~数十本撚(よ)り合わせて糸にし,また,短繊維は紡糸によって長い糸にして紡織する。 人類は大昔から繊維を紡いで糸にし,それを織って布を作る技術を考え出し,それまでの獣皮などに替えて衣類として使ってきた。麻は人類が最も古くから利用してきた紡織用の繊維であり,古代エジプトではナイル川流域の肥沃な土地でアマ(亜麻)が栽培されていた。…

【タイマ(大麻)】より

…中央アジア原産のアサ科の一年草(イラスト)。古い時代から繊維を採るために栽培されてきた。…

【紡績】より

…天然繊維や化学繊維で作られたステープルファイバー(短繊維)など比較的短い繊維の集合体を解きほぐし,連続したひも状のスライバー(撚り(より)をかけない繊維束で,日本では篠(しの)と呼ばれる)を作った後,これを引き伸ばして細くし,撚りをかけて糸を作る一連の作業。昔は真綿その他の繊維塊から指先で繊維を引き出し,これに撚りをかけて糸を作ることを〈紡ぐ〉といい,麻,カラムシ(チョマ)などを細く裂いてつなぎ,撚り合わせることを〈績む(うむ)〉といった。…

※「アサ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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