春部郷(読み)かすかべごう

日本歴史地名大系 「春部郷」の解説

春部郷
かすかべごう

和名抄」所載の郷。訓は同書高山寺本「加須可倍」、東急本「加須加倍」。春日かすが山垣やまがき遺跡から八世紀初めの「春部里長」らに宛てた郡符木簡が出土している。平城京跡出土木簡には「丹波国氷上郡春部里生部真君俵」とあり、奈良時代の居住氏族が判明する。郷域について「丹波志」は、江戸時代の春日部かすかべ庄すなわち和田貝わだがい広瀬ひろせ松森まつもり上三井庄かみみのしよう・下三井庄中山なかやまなか長谷はせ棚原たなばら野上野のこの柚津ゆづ鹿場かんば本知ほんち新知しんち多田ただ七日市なぬかいちの一七ヵ村とする。

春部郷
かすかべごう

「和名抄」高山寺本・東急本ともに「春部」と記し訓を欠くが、他例からみて「春日部」の略でカスカベと読む。「日本地理志料」は春日は日部の誤りでクサカベと読むとし、草戸くさど(現福山市)にあて佐波さば神島かしま長和ながわ水呑みのみ熊野くまのの諸村(現福山市)に及ぶとする。

春部郷
かすかべごう

「和名抄」高山寺本・東急本ともに「春部」と記し訓を欠く。春日部の約でカスカベと読む。「日本地理志料」は「三上郡春日村」に接する地とするが、春日は春田しゆんだ(現庄原市)の誤りであって解釈に苦しむ。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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