易簀（読み）エキサク

デジタル大辞泉

えき‐さく【易^×簀】

《「礼記」檀弓上の、曽子が死に臨んで、季孫から賜った大夫用の簀すのこを、身分不相応のものとして粗末なものに易かえたという故事から》学徳の高い人の死、または、死に際をいう語。
[類語]死ぬ・卒去する・薨去こうきょする・薨こうずる・お隠れになる・升遐しょうか・徂落そらく・崩ずる・登仙・崩御

出典　小学館

精選版 日本国語大辞典

えき‐さく【易簀】

〘名〙 (孔子の弟子の曾子が、死ぬ前に病床に敷いていた大夫用の簀(すのこ)を、身分不相応だと言って、易(か)えさせたという「礼記‐檀弓」の故事から) 学徳の高い人や高貴な人が死ぬことを敬っていうことば。

※峨眉鴉臭集（1415頃）祭正翁文「易_二簀洛城私第_一」

出典　精選版 日本国語大辞典

故事成語を知る辞典

易簀

偉大な人物が亡くなること。

[使用例] 六十六歳を一いち期ごとして胃潰かい瘍ようのため吐血し、忽こつ焉えん易簀せられたのは惜しみてもなお余りがある［牧野富太郎＊植物一日一題｜1953］

[由来] 「礼記―檀だん弓ぐう・上」に出て来る話から。紀元前五世紀、中国の春秋時代のこと。孔子の弟子、曾そう子しは、危篤の床でも、敷いている簀すの子こが身分不相応な品であるのに気づくと、「簀を易かえ（簀の子を取り換え）」させたということです。

出典　故事成語を知る辞典

普及版 字通

【易簀】えきさく

病牀をとりかえる。人の死をいう。〔礼記、檀弓上〕曾子、疾に寢(い)ねて(へい)なり。～曰く～元（曾子の子）ちて簀を易(か)へよと。曾元曰く、夫子の革(すみ)やかなりと。～擧げて扶(たす)けて之れを易へしむ。席に反(かへ)り、未だ安んぜずして沒せり。

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出典　平凡社「普及版 字通」