日向纂記(読み)ひゆうがさんき

日本歴史地名大系 「日向纂記」の解説

日向纂記
ひゆうがさんき

二〇巻・目録一巻 平部南編著

成立 慶応三年

写本 鹿児島大学附属図書館玉里文庫・東京大学史料編纂所・県立図書館など

解説 幕末の飫肥藩家老平部南が編纂した日向国の歴史書。日向の神話時代と山陵、伊東氏の先祖工藤祐経から江戸期の飫肥藩伊東氏までを記述の対象としている。中世は「日向記」を定本に「西藩野史」「島津世録記」「庄内平治記」などの軍記物が引用され、伊東氏を中心に島津氏・土持氏などの日向国の歴史が描かれる。江戸時代は飫肥藩家中に伝わる書簡覚書南自身の見聞古老からの聞書などを収集して考証を加えている。序によると、南には日向私史という伊東氏関係の人物伝記集があるが、漢字が多く難解であるため片仮名混りで読みやすくするとともに、人の道に役立つよう忠臣・烈士・孝婢・義僕の事例を選び編纂したという。

活字本 明治一八年刊・昭和五一年復刻

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報