新地(町)(読み)しんち

日本大百科全書(ニッポニカ) 「新地(町)」の意味・わかりやすい解説

新地(町)
しんち

福島県最北部、浜通りにある相馬郡(そうまぐん)の町。1971年(昭和46)町制施行。海岸に沿ってJR常磐(じょうばん)線、国道6号(陸前浜街道)が走り、国道113号が東西方向に通じる。町域の西部阿武隈(あぶくま)高地東部は海岸平野で、農業と漁業が主産業である。江戸時代は伊達(だて)氏仙台藩領で、浜街道の宿駅であった。南部の相馬市との境にある重要港湾相馬港の開発に伴い、工業化が進んでいる。1994年(平成6)から大規模な火力発電所が操業している。また、釣師浜(つるしはま)海水浴場原生林がみられる鹿狼山(かろうさん)などがある。縄文時代の遺跡新地貝塚(国史跡)、三貫地(さんがんじ)貝塚(県史跡)がある。2011年(平成23)の東日本大震災では、死者98人・行方不明10人、住家全壊439棟・半壊138棟を数え(消防庁災害対策本部「平成23年東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)について(第159報)」平成31年3月8日)、学制発布直前の学校である観海堂(県史跡)も津波で流失した。2016年12月には内陸側に路線を移動して常磐線が相馬駅―浜吉田駅間で運行再開、新地駅も新駅舎で再出発した。2018年3月時点で、町では駅前整備など残された復興課題に取り組んでいる。面積46.70平方キロメートル、人口7905(2020)。

原田 榮]

『『新地町史』全3巻(1982~1999・新地町)』


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