精選版 日本国語大辞典 「敢ず」の意味・読み・例文・類語
あえ【敢】 ず
① (「あう(敢)」が独立した動詞の形で) 耐えられない。がまんできない。
※続日本紀‐天平神護二年(766)一〇月二〇日・宣命「今は身も不敢(あへず)あるらむものを、夜昼退(まか)らずして護り助け仕へ奉るを見れば」
② (動詞の連用形に付いて補助的に用いる。ただし係助詞「も」などが間に入ることもある)
(イ) …しきれない。…しおおせない。
(ロ) …できない。
※万葉(8C後)一一・二八二二「𣑥領布(たくひれ)の白浜波の寄りも不肯(あへず)荒ぶる妹に恋ひつつそ居(を)る」
(ハ) (動詞の連用形に係助詞「も」を添えた形に付く。「あへねば」の形をとることもある) …するや否や。…も終わらぬうちに。中世以後この用法だけに固定化して使用された。
※太平記(14C後)一一「妻室聞きもあへず、只涙の床(ゆか)に臥し沈みて」
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