推定(法律用語)(読み)すいてい

日本大百科全書(ニッポニカ) 「推定(法律用語)」の意味・わかりやすい解説

推定(法律用語)
すいてい

はっきりしない事実について、いちおうの仮説をたてること。法律用語において、「Aを証明すればBと推定する」という場合には、Bであることの反証をあげない限りは、Bとして扱われることを意味する。たとえば、「前後の両時点において占有をした証拠があるときは、占有は、その間継続したものと推定する。」(民法186条2項)という規定により、あるものを去年元旦(がんたん)と今年の元旦に占有していたことを立証すれば、その間に占有していない時期があったことを相手方が証明しない限り、占有が継続していたものとして扱われる。この場合、相手方は挙証責任を負うという。また、養子実子と推定するのであれば、実子でないことを証明すれば実子として扱われないが、実子とみなされているのだから単に実子でないことを主張しても、実子として扱われる。反証を許さない擬制と対照される。

長尾龍一

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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