抗毒素製剤(読み)こうどくそせいざい

日本大百科全書(ニッポニカ) 「抗毒素製剤」の意味・わかりやすい解説

抗毒素製剤
こうどくそせいざい

毒素を含む血清ジフテリア菌破傷風菌などの産生する菌体外毒素や、マムシハブなどの毒ヘビの毒素を動物に注射すると、毒素に対する抗体が生じる。この抗体を抗毒素という。抗毒素は特異的に対応する毒素と結合し、中和反応を現す。抗毒素は血清中に生産されるので、抗毒素を含む血清を抗毒素血清といい、治療に用いられるところから治療血清ともいう。抗毒素製剤には液状のものと凍結乾燥したものとがある。ジフテリア抗毒素、乾燥ジフテリア抗毒素、破傷風抗毒素、乾燥破傷風抗毒素、ガス壊疽(えそ)抗毒素、乾燥ガス壊疽抗毒素、乾燥まむし抗毒素、乾燥はぶ抗毒素、ワイル病治療血清などがあり、それぞれ治療と予防の目的で使用される。最近では精製して凍結乾燥した製剤が多くなった。免疫血清なので、効果の発現が早いが、免疫の持続時間は短い。また、血清病、ショックの副作用がある。これらの抗毒素製剤を用いて治療する方法を血清療法(抗毒素療法)という。

[幸保文治]

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