手から(読み)てずから

精選版 日本国語大辞典 「手から」の意味・読み・例文・類語

て‐ず‐から ‥づ‥【手から】

〘副〙 (「手」に、助詞「つ」、名詞「から(柄)」の付いてできたもの。→助詞「から」の補注)
① 他人にさせないで、直接自分の手をくだしてするさまをいう。自分の手で。
※小川本願経四分律平安初期点(810頃)「自手(テづかラ)種種の多美の飯食を斟酌して」
平家(13C前)四「紫毫(しがう)をふるって手つから御作をかき」
※尋常小学読本(1887)〈文部省〉七「試験の後、此児童等に、手づから卒業証書を与へられたりと云ふ」
② 一般に、動作、行為を間接的でなくするさまをいう。みずから。自分で。
落窪(10C後)一「腹だちののしれば、おとどてづからいまして」
※枕(10C終)五七「侍などにあるものを具して来ても呼ばせよかし。てづから、声もしるきに」
[補注]「手」に尊敬接頭語を付けた形も見られる。「万葉‐八一三」の「真珠なす 二つの石を〈略〉み弖豆可良(テツカラ) 置かし給ひて」、「東大寺諷誦文平安初期点」の「仏、彼所(そこ)に至りて自(オホミテツ)から洗ひ着せたまひたり」など。

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