思上(読み)おもいあがる

精選版 日本国語大辞典 「思上」の意味・読み・例文・類語

おもい‐あが・る おもひ‥【思上】

〘自ラ五(四)〙
気位を高くもつ。心に誇りをもつ。自負する。おもいのぼる。
大和(947‐957頃)一〇三「いといたう人々懸想(けさう)しけれど、思あがりて、男などもせでなむありける」
② いい気になる。うぬぼれる。つけあがる。
煤煙(1909)〈森田草平〉二七「例の思ひ上った調子は毎時もと変らない」
[語誌](1)古くは品位を高く保とうとする気持を表わす語。平安朝貴族の身分社会にあって、特に結婚に対する考え方として現われ、多く身分の高い人と結ばれたいという思いを含んで用いられた。
(2)現代では、分不相応だという非難する気持を含んだ②の意味に限って使われる。

おもい‐のぼ・る おもひ‥【思上】

〘自ラ四〙 気位を高くもつ。すぐれたものを追い求める。おもいあがる。
平中(965頃)三「おもひのぼれる心を持たりけるか。めざましう、恐しうもあるかな」

おもい‐あがり おもひ‥【思上】

〘名〙 いい気になること。うぬぼれること。
浮雲(1887‐89)〈二葉亭四迷〉一「新聞の受売からグット思ひ上りをした女丈夫」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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