志明院(読み)しみよういん

日本歴史地名大系 「志明院」の解説

志明院
しみよういん

[現在地名]北区雲ヶ畑出谷町

岩屋いわや山腹にある。真言系単立。正式には岩屋山志明院と号し、本尊は空海作と伝える不動明王で、岩屋不動と称される。岩屋山は古くから山岳信仰の地とされ、修験道の行場となった。大永八年(一五二八)天下静謐の祈願のため諸堂開扉の詔があり、その勅願成就によって「志明院」の勅額を賜って以来、これを寺号としたと伝える。元禄年間(一六八八―一七〇四)成立の縁起(住職宗恒撰、宝鏡寺宮徳巌尼主筆)によれば、白雉元年(六五〇)役小角が不動明王の示験により草創、天長六年(八二九)淳和天皇の命で空海が再興。その後、宇多天皇によって乾の方角勅願所と定められて以来寺運は興隆し、観応元年(一三五〇)には室町幕府から丹波国小川荘を寄せられ、慶長一三年(一六〇八)には皇室から修理料として金一〇〇両が、同二〇年には勅願成就の功として「南無不動明王」の六字紺地金泥の宸筆が下された(縁起は後奈良天皇筆とするが、年代からすれば後水尾天皇となる)。また東山天皇からは桜樹八〇〇本が山内に寄進されたともいう。「拾遺都名所図会」に「是より岩屋山まてハ十六町あり。坂路の左右に桜多し。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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