心頭滅却すれば火もまた涼し(読み)しんとうめっきゃくすればひもまたすずし

ことわざを知る辞典 の解説

心頭滅却すれば火もまた涼し

無念無想境地にいたれば、火さえも涼しく感じられる。どのような困難、苦難も、それを超越した境地にはいれば、何でもないことだ。心頭を滅却すれば火もまた水。

[使用例] 御承知でもござろうが、甲斐のりんは、武田信玄以来のめいさつで、昔、織田信長があの寺を攻めて焼撃を試みた時、寺のあるじかいせんこく楼門の上に登り、火に包まれながら、心頭を滅却すれば火も自ら涼しといって、しょうようとして死に就いた豪い出家である[中里介山*大菩薩峠|1913~41]

[解説] 天正一〇年(1582)四月、織田信長の軍勢によって、甲斐(山梨県)恵林寺僧侶は残らず山門に追い上げられ火をかけられました。その時、この寺の快川禅師は法衣を着、扇子を持って端座し、このを発し焼死したといわれます。なお、「甲乱記」では、快川と問答をした高川和尚の発言とされています。

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