御差(読み)おさし

精選版 日本国語大辞典 「御差」の意味・読み・例文・類語

お‐さし【御差】

〘名〙 (「お」は接頭語)
① (御左進) 貴人の子に乳をさしあげるだけの乳母。さしうば。乳うば。お乳の人。
※御湯殿上日記‐文明一〇年(1478)四月二日「二宮の御さし、御ちの人なとも御とも」
天皇御厠(おとう)にはいるとき、つき従ったりする下級の女蔵人。諸大夫の娘、坊官の娘、四位の娘が奉仕した。
③ (「おさしあい(御差合)」または「おさしつかえ(御差支)」の略) さわりがあって都合のわるいこと。また、その事柄
洒落本・南門鼠帰(1802)二「何かおまいさんにはおさしが御ざりまして、出られません」
④ (御刺) (「さし」は「さしみ(刺身)」の略) 刺身をいう丁寧語。〔女中言葉(1712)〕
歌舞伎蔦紅葉宇都谷峠(文彌殺し)(1856)五幕「入口のお二人さん、鮪鍋(まぐなべ)一枚に、お刺身(サシ)一人前出ます」

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