従容・縦容・松容（読み）しょうよう

精選版 日本国語大辞典

しょう‐よう【従容・縦容・松容】

〘名〙

① (形動タリ) 気持をやわらげ、ゆったりと落ち着くこと。あせらず、ゆうゆうとしていること。また、そのさま。じゅうよう。

※経国集（827）一・嘯賦〈菅原清公〉「是乃非_レ止_二従容之散適_一、柳亦済_レ厄之奇権」

※小説神髄（1885‐86）〈坪内逍遙〉上「大に怒りし折にもわざと面を和らげつつ従容(シャウヨウ)として語らふべく」 〔書経‐君陳〕

② (━する) 貴人に伺候すること。また、貴人が余裕のある状態で、下位の者などの話をゆっくり聞くこと。

※将門記（940頃か）「且(しば)らく縦容する次に、内豎(ないじゅ)伊和員経謹みて言す」

③ 貴人のきげん、意向、挙動。

※本朝文粋（1060頃）一〇・香乱花難識詩序〈大江朝綱〉「不_レ期而会。伺_二其縦容_一」

④ (━する) 大目にみて許すこと。寛容なこと。

※刑法（明治一三年）（1880）三五三条「但本夫先に姦通を縦容したる者は告訴の効なし」

[補注](④について) 木村敏編「傍訓刑法」（一八八二）では、「旧刑法‐三五三条」条文の「縦容」に「シヨウヨウ」とルビがふってあり、頭注に「縦容 ショウチ」とある。

出典　精選版 日本国語大辞典