徒・歩・歩行・徒歩(読み)かち

精選版 日本国語大辞典 「徒・歩・歩行・徒歩」の意味・読み・例文・類語

かち【徒・歩・歩行・徒歩】

〘名〙
① 馬・船など、乗り物に乗らずに足で行くこと。歩いて行くこと。徒歩(とほ)
万葉(8C後)一三・三三一七「馬買はば妹歩行(かち)ならむよしゑやし石は踏むとも吾は二人行かむ」
※太平記(14C後)一一「母御の歩(カチ)にて歩(あゆ)ませ給ふが御痛敷候」
② (歩いて行くことの意から) 陸路を行くこと。陸路。また、陸。〔色葉字類抄(1177‐81)〕
※ロドリゲス日本大文典(1604‐08)「フネデサエ ヤウヤウ ツイタニ cachiua(カチワ) ナカナカ ナルマイ」
③ 歩いて主君の供をする侍(さむらい)。かちのもの。かちざむらい。歩行の士。歩兵。歩卒。走衆(はしりしゅう)
※兵法雄鑑(1645)一九「十、歩行の士、御大将の御前を歩むべし」
④ (徒士) 江戸時代、諸藩の武士をいう。幕府御家人(ごけにん)にあたる。当時、武士階級を侍、徒、足軽中間の三者に分けることがあった時、侍は騎乗を許されたが、徒以下は許されなかったことから区別された。→かちの衆(しゅう)
※禁令考‐前集・第三・巻二二・享保六年(1721)一二月「侍三人、徒士弐人、足軽拾五人、中間拾弐人、右御門番相勤候節」
⑤ (徒士) 江戸幕府の職名。平日は江戸城本丸の獅子間以下諸所に勤番し城内の警衛にあたり、将軍他行のときは先払(さきばらい)辻固(つじかため)などに任じた。御徒(おかち)。七十俵五人扶持。一組三〇人。一五組。西丸にもいた。かちざむらい。〔徳川実紀‐享保四年(1719)〕

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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