弓矢八幡(読み)ユミヤハチマン

デジタル大辞泉 「弓矢八幡」の意味・読み・例文・類語

ゆみや‐はちまん【弓矢八×幡】

[名]弓矢の神である八幡大菩薩だいぼさつ武士が誓約するときの語。
「―、氏の神も御照覧あれ」〈謡・檀風
[感]
にかけて誓って、の意》神かけて。誓って。
「―寝はせねど」〈松の葉・一〉
失敗したとき、残念に思うときなどに発する語。南無三宝
「―大事は今」〈浮・一代男・六〉

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精選版 日本国語大辞典 「弓矢八幡」の意味・読み・例文・類語

ゆみや‐はちまん【弓矢八幡】

[1] 弓矢の神である八幡大菩薩。武士が誓いを立てる時に、「照覧あれ」などを伴って用いた。
※大観本謡曲・檀風(1465頃)「かかる口惜しき事を承り候ものかな。弓矢八幡氏の神も御照覧あれ。懇に申して候」
[2] 〘感動
① (「弓矢八幡にかけて誓って」の意) 武士などが自分の心やことばに偽りがないことなどを誓うときに言うことば。神かけて。誓って。断じて。決して。本当に。
※虎明本狂言・武悪(室町末‐近世初)「『いや真実か』『弓矢八幡某に仰付られた』」
② 残念に思う時、失敗を悟った時、驚いた時、また、次に言う語を強める時などに発することば。南無三宝(なむさんぼう)
浮世草子好色一代男(1682)六「声あらく、弓矢(ユミヤ)八幡、大事は今、七左様のがさじと」

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