帰さ・還さ(読み)かえさ

精選版 日本国語大辞典 「帰さ・還さ」の意味・読み・例文・類語

かえ‐さ かへ‥【帰さ・還さ】

〘名〙 (「かえるさ(帰━)」の変化した語。古くは「かえっさ」か)
① 帰りみち。かえるさ。
※伊勢物語(10C前)七八「そのみわざにまうで給ひて、かへさに」
源氏(1001‐14頃)乙女「夜更けぬれど、〈略〉かへさにわたらせたまふ」
② 帰ること。特に、賀茂祭の翌日、斎王(いつきのみこ)上賀茂から紫野の斎院に帰ること。また、勅使や舞人、陪従(べいじゅう)が従うその行列。祭のかえさ。
※源氏(1001‐14頃)若菜下「けふのかへさ、見にいで給ひける上達部など、帰り給ふみちに、かく人の申せば」
[語誌](1)「万葉集」に既に例がある同義の「かへるさ」に対し、中古に入ってからみられるようになる語。「かへるさ」の「る」が促音化した「かへっさ」を「かへさ」と表記したところから生じたものか。
(2)中古の散文では「かへるさ」よりも多用される。しかし和歌では、「万葉集」以来の「かへるさ」の方が優勢で、「かへさ」の例は多くない。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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