市来町(読み)いちきちよう

日本歴史地名大系 「市来町」の解説

市来町
いちきちよう

面積:三一・五六平方キロ

薩摩半島の北西端、日置郡の最北端に位置する。北西は串木野市、南東は東市来町、北東の一部は樋脇ひわき町に接し、南西は東シナ海に面している。町の北東部は高地で、南西部は低地である。北東部は八重やえ山山塊に属する旧期の火山岩からなる丘陵で、岳北東斜面に源を発する八房やふさ川が南西に流れて狭い谷底平野を形成する。大里おおざと川は南東部から北西へ流れ、みなと町で八房川と合流して東シナ海に注いでいる。重信しげのぶ川を含めた三河川が合流する当町南西部は沖積平野をなし、集落・市街地を形成している。町の南西部をJR鹿児島本線が通り、市来駅がある。鉄道と並行して国道三号が走る。湊町で国道三号から国道二七〇号が分岐して沿岸部を日吉ひよし町方面へ南下する。

八房川流域と海岸の後背地を前にした台地に遺跡が集中している。旧石器時代は大里松尾まつおびら遺跡で台形石器や剥片などが出土しており、製作跡の可能性がある。川上かわかみ市来貝塚でも剥片尖頭器などが出土している。湊町の小原こばい遺跡で発見された刃部が丸い磨製石斧は最近縄文時代草創期のものとして注目されている。縄文時代の遺跡は市来貝塚のほかに大里に田中堀たなかぼり遺跡があるが、詳細は不明である。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報