差越(読み)さしこす

精選版 日本国語大辞典 「差越」の意味・読み・例文・類語

さし‐こ・す【差越】

[1] 〘自サ四〙 (「さし」は接頭語)
① 越えるようにする。越えて前へ出る。
今昔(1120頃か)二〇「(うつふ)し臥たる上より差し越して、弓を強く引て射たれば」
順序手続を飛び越える。他をさしおいて事をする。差し越える。
※苔の衣(1271頃)四「みやのまだいと見まほしくあいぎゃうづきたる御様なれば、さしこして似給へるにこそと」
[2] 〘他サ四〙 人をよこしたり、物を送ってよこしたりする。送ってくる。
上杉家文書‐(年未詳)(16C末‐17C初)四月一五日・上杉景勝自筆書状「態使、ことに樽さし越候、喜悦、則賞翫申候」
※歌舞伎・染替蝶桔梗(1816)序幕「密かに届けてくれよとござって書状を差越しましたゆゑ」

さし‐こ・える【差越】

〘自ア下一(ヤ下一)〙 さしこ・ゆ 〘自ヤ下二〙 (「さし」は接頭語)
① 越える。山、坂など高い物の上を過ぎてゆく。
蜻蛉(974頃)上「まつ山のさしこえてしもあらじ世を我によそへてさわぐ波かな」
② 順序をふみこえる。人をさしおいて先に出る。でしゃばる。さし出る。さしこす。
※枕(10C終)二八「今参りのさしこえて、物知り顔に教へやうなる事云ひうしろみたることいとにくし

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

普及版 字通 「差越」の読み・字形・画数・意味

【差越】さえつ(ゑつ)

次序をこえて錯乱する。〔後漢書、安帝紀〕昔在(むかし)王、天を承けて民を理(をさ)む。~、不を以て大業奉するも、陰陽差越し、變異竝びに見(あら)はる。~夙夜克己し、憂心京京(けいけい)たり。

字通「差」の項目を見る

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

今日のキーワード

排外主義

外国人や外国の思想・文物・生活様式などを嫌ってしりぞけようとする考え方や立場。[類語]排他的・閉鎖的・人種主義・レイシズム・自己中・排斥・不寛容・村八分・擯斥ひんせき・疎外・爪弾き・指弾・排撃・仲間外...

排外主義の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android