差矢(読み)さしや

精選版 日本国語大辞典 「差矢」の意味・読み・例文・類語

さし‐や【差矢】

〘名〙
① 矢の一種矢数をする矢。量産数矢(かずや)で、炙篦(あぶりの)にして、鴨の第二羽で矧(は)ぎ、根を木でつくる。他の矢よりも軽い。もっぱら矢数の稽古に用いる。
※俳諧・曠野(1689)員外「みるもかしこき紀伊の御魂屋〈胡及〉 若者のさし矢射ておる花の陰〈一井〉」
② 近距離間での射法で、直線的に、矢数を射ること。また、その矢。
平家(13C前)一一「或はとを矢に射る舟もあり、或はさし矢にゐる船もあり」

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世界大百科事典(旧版)内の差矢の言及

【通し矢】より

…京都三十三間堂(蓮華王院),のちには江戸深川の三十三間堂でも行われた射技の一種。堂射(どうしや),差矢(さしや),堂前(どうまえ)ともいう。三十三間堂の縁上で,距離33間(実質的には66間,約120m)を射通し,成功した矢数を競った。…

【矢板】より

…また,軟弱な地山に坑道を掘削する場合には,掘削前方の地山の天井にあらかじめ矢板を打ち込んで崩落を防ぎながら掘り進む。この場合の矢板のことを差矢ともいう。地山に立坑を掘削する場合にも,あらかじめ立坑の周囲に板を打ち込んで地山の崩落を防ぎながら内側を掘り進んでいく。…

※「差矢」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」